トップページ > 化成人 > File.3 坂崎 ゆかり

新たなメーク理論を開発研究し、次々と製品化

今までの経歴と、現在の仕事は何ですか。
私は1992年の入社後から、現在と同じメークアップ開発室にて製品開発と開発研究を行ってきました。
製品開発とは、グループ各社の商品企画担当者から依頼を受けて行う研究です。企画コンセプトに基づいて新製品の処方を創ることがメインの仕事で、これまで数々のメーク品を世の中に送り出してきました。
また開発研究とは、逆にグループ各社に向けて研究所から技術提案していくための題材を生み出す研究です。数年後のニーズを予測しながら、新粉体や新感触、新コンセプトなどの技術を生み出してきました。
その後2009年から、界面化学の分野では世界的に有名なスウェーデンのルンド大学に派遣留学し、1年8ヵ月間、基礎研究を行ってきました。ここで学んできた「粉の界面化学」の知識は、より良いメーク品を創っていく上で、現在も非常に役立っています。
帰国後の2011年からは、14名のメンバーがいるメークアップ開発室の室長として、ベースメーク、ポイントメーク、サンスクリーンの製品開発マネジメントや、開発研究マネジメントをしています。
また、期間限定の非定常業務ではありますが、グループ海外企業との共同プロジェクトのリーダーとして、H2O PLUS社とのコラボレーション業務を担当しています。
これまでの仕事の成果を教えてください。
製品開発としては、2つの新剤型の製品化に成功しました。
「固型W/O剤型」は、リキッドタイプのファンデーションを固めてケーキ状にしたものです。リキッドタイプのみずみずしい感触はそのままに、使い勝手と携帯性を高めることを可能にしました。
「シリコーンジェル剤型」は、毛穴を隠してスベスベな肌に仕上げる製品に使われています。
開発研究としては、2000年のIFSCC(国際化粧品技術者会連盟)ベルリン大会において「失われた肌のキメを復活させる理論」を発表しました。これは年齢によって失われてしまう肌のキメを人工的に創り出すことで、明るく若々しい肌の印象になるという研究です。この研究技術は、(株)ポーラのメークシリーズ「AUGHA(オーガ)」のメイン仕上がりコンセプトとして採用され、その内容をまとめた論文が、第12回SCCJ(日本化粧品技術者会)最優秀論文賞を受賞しました。
また2004年のIFSCCオーランド大会では「赤い光の光学効果を利用したメーク料の開発」 を発表しました。これは赤い光がシミ、シワなどの肌トラブルを最もカバーする色であり、その赤い光を効果的に見せるイゲタ型の粉体を開発した研究です。この研究技術は、(株)ポーラのメークシリーズ「ザ メーク B.A」のメイン仕上がりコンセプトとして採用され、その内容をまとめた論文が、第14回SCCJ最優秀論文賞を受賞しました。
達成した時の心境や、苦労したエピソードは。
いずれの研究でも、研究ストーリーや技術の仮説構築の段階が最も苦労しますが、文字通り朝から晩まで考えていると、ある日突然、些細なきっかけで閃きが起きます。
例えば肌のキメを復活させる理論の研究では、偶然目にしたテレビがヒントになりました。クリスマスツリーをキラキラと写す写真撮影の裏ワザを紹介するという番組を見た瞬間、「これだ!」と思ったのです。
その裏ワザの仕組みは、アクリル板に格子状の傷をつけて撮影すると、点で写るはずの電球の光が格子の傷によって拡散し、きらめいて写るというものでした。この光の拡散にヒントを得て、翌日研究所で格子状の傷を肌のキメに見立てて試験をしました。予想通り、キメの整った肌では光がきれいに拡散していることが分かりました。
赤い光で肌を美しく見せる理論の研究は、原料メーカーが間違って持ってきた素材がそのきっかけになりました。
当時、色の研究、肌のトラブルを隠す方法の研究、面白いカタチをした粉体の研究、と3つの研究をバラバラに進めていました。中でも粉体の開発研究では、ストロー状の粉体を創ろうと試行錯誤していたのですが、ある時、原料メーカーの担当者が張り切って持ってきたストロー状粉体の試作品の中に、偶然異なるカタチの粉体が混ざっていたのです。ストロー状にこだわり、考えもしていなかったほかの形状を目にした瞬間、バラバラに進めていた3つの研究が頭の中で突然、一本の糸のようにつながりました。赤い色をした複雑な特殊形状をもつ粉体を使えば、肌がきれいに見えるのではないか、と。
こうした「これだ!」と思った瞬間に、研究全体の流れや、研究の着地点、製品のイメージ、そして自分がお客さまに製品の説明をしている姿まで全部イメージできる…そういう「神様からの啓示」とも思えるようなブレイクスルーの瞬間が好きで、それがあるから研究はやめられないのです。
仕事で大事にしていることまたはモットーは。
「できない理由を探すヒマがあるなら、どうしたらできるかを考える」。
単純ですが、できない、不可能、無理ですと言うのが悔しいからです。
大変なところ、やりがいを教えてください。
研究を担当していた時は、サンプルを創ったりデータを取ったその時に、五感で「これはまずい」「これは大丈夫」と分かったものですが、室長となった今では、それぞれの研究の状況をメンバーの話や書類から類推するしかありません。結局のところ、「モノ」を直接創っている本人にしか実感できないことというのはたくさんあるのです。それでもあらゆる判断、指示を出していかなければならないことが一番難しいと感じています。
そんな中、メンバーが苦労しながらもそれを乗り越え、仕事を完遂して一緒に喜ぶ時はやりがいを感じます。さらに「室長のアドバイスのおかげでうまくいった」と言われた時が、一番嬉しいかもしれません。
必要なスキルや技は何ですか。
研究員として必要なのは、「創造力」とともに「想像力」だと考えています。
お客さま、企画担当者、生産担当者、容器担当者、宣伝担当者、原料メーカー…さまざまな立場の視点から自分の研究を眺め、もし自分が○○の立場だったらこうして欲しいと思うだろう、ということを想像しながら、常に研究の内容、進め方の軌道修正を図っていくことが必要だと思うからです。
室長となってから痛感しているのは、コミュニケーション能力です。メンバーの思いや意見をいかに拾い上げられるか、関連部署といかに効果的に連携を図っていけるかが、自部署を運営していく上でのキーポイントだと思います。
仕事で使う道具や愛用品はありますか。
研究員時代に使用していた名前入りの撹拌棒は、今も大事に机に飾っています。
以前は、年始に飾っていた会社の門松の竹で撹拌棒をつくることが、研究員の恒例となっていました。これもそうした1本で、先輩社員からいただいたものなんです。
目標、または夢はありますか。
今は研究業務からは離れてしまいましたが、実はまだ研究には未練があって、自分でやりたい研究がたくさんあります。今までを振り返ってみても「ああすれば良かった」「ここは失敗だった」という後悔はいろいろと出てくるので、「これができたからもう十分」と思えるような研究をするのが夢です。
わがままかもしれませんが、「生涯、一研究員として会社へ貢献すること。これぞと思える製品を世に出すこと」が私の目標です。
しかし今後も直接研究ができなくても、研究現場のマネージャーとして、研究に触れられるところで仕事をしていきたいと思います。

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File.4 製品開発部
技術開発センター 生産構造改革チーム 山下 大輔

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