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研究

研究成果

学会発表

IFSCC世界大会での発表内容

IFSCC第23回オーランド大会において5件の学術論文を発表

IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)第23回オーランド大会(2004年10月、米国)で、以下の5件の学術論文を発表しました。  

今回の大会では演壇での口頭発表73件の内5件を発表しました。内容は、いずれも内外の研究者から高い評価を受けており、これらの技術を応用した製品の発売が予定されております。

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1. 「高い保湿性と閉寒性を有するエマルションの開発について」

エマルションは主に水と油から形成されている。
このエマルション化粧品の基本機能としては、肌にうるおい(水分)を与える保湿効果と、肌の水分の蒸散を抑制する閉塞効果がある。
しかしながらエマルションの性質上、これら両効果は拮抗関係にあるため、同時に高めることは困難であった。
つまり、エマルション中の水あるいは水溶性成分の割合を高めると、保湿効果は向上するが、逆に閉塞効果は低下する。
一方、エマルション中の油の割合を高めると、閉塞効果は向上するが、保湿効果は低下する。
エマルション中の水と油の割合を同時に高めることはできないため、両効果は拮抗する関係にあった。  
そこでこの課題を解決するため、我々はエマルションを皮膚に塗布した後にできる非常にうすい膜すなわち「エマルション膜」と多くの水分を含みかつ水分の蒸散量も少ない「健康な角層」に着目した。
つまりエマルション膜の構造を健康な角層の状態に似せることで、拮抗関係にあった保湿効果と閉塞効果の両立に成功した。  
具体的には、デカグリセロールモノステアレートとセチルアルコール、ポリグリセロール(13)ポリオキシブチレン(14)ステアリルエーテルの乳化剤を用いてD相乳化という特殊な乳化法でエマルションを作製すると、従来のエマルションよりも保湿効果と閉塞効果が同時に高められることが分かった。
また従来のエマルションは塗布されるとエマルションの粒子が消失して見えなくなるのに対して、このエマルションは塗布されてもエマルションの粒子が残存していることが、特殊なレーザー顕微鏡により観察された。
さらにこのエマルションを1ヵ月間連用することにより、角層の状態(角層の重層剥離、角層細胞の規則性)が有意に改善した。

 

スキンケア開発チーム
酒井 裕二 研究員

2. 「化粧品の機能と感触の両立 ~分子レベルからのべたつき改善~」

化粧品にとって保湿性は非常に重要な要素である。
しかしながら、保湿剤を化粧品中に高い濃度で配合するとべたつきの強い製品となり、これは消費者の多くが嫌うものである。
今回我々は保湿剤の高配合がべたつきを生む原因として、分子の「極性基」と呼ばれる部分が肌表面に露出することであると考えた。
そこで、べたつきを抑制するにはこの極性基の露出を抑える物質を溶液に共存させることが有効である、との仮説の元に研究に着手した。
そこで、我々はこの目的のために新規物質の設計に取りかかったが、検討の結果、この目的には共重合高分子が相応しいと考え、汎用されている保湿剤であるグリセリンに対する"カスタムメード"の考え方で新規の高分子、polyglycolmethacrylate - 2-hydroxyethylmethacrylate - fluoroalkylacrylate - copolymer (Polymer SR)の合成に成功した。
この高分子は、表面に疎水的な膜を形成することによって、グリセリンが有する保湿能を阻害せずにグリセリンのべたつきを減少させることが分かった。
また、製品に近いローションを用いた官能評価テストでも、肌に塗布後にこの効果が確認されている。

 

スキンケア開発チーム 
工藤 大樹 研究員

3. 「メラノサイトのデンドライト伸縮に着目した色素制御研究」

表皮に存在するメラニンは、メラニンを合成するメラノサイトとメラニンを受け取って蓄えるケラチノサイトの相互作用によって構成されている。
メラノサイトの中で合成されたメラノソームは、メラノサイトのデンドライトを介してケラチノサイトに受け渡される。
その結果、表皮にメラニンが供給され、皮膚色が決定される。
理論上では、表皮へのメラニン供給を効率的にコントロールする方法を見出すことができれば、皮膚色を暗くしたり明るくしたりすることができるはずである。 
そこで我々は、正常ヒトメラノサイトを用いて、数多くの植物エキスにデンドライトを縮小もしくは伸張する効果があるか否かを評価した結果、バクモンドウとセイヨウノコギリソウの抽出物にデンドライトを縮小する作用を、センブリ抽出物にデンドライトを伸張する作用を見出した。
さらなる研究の結果、バクモンドウに含有する有効成分はmethylophiopogonanone B(MOPB)、セイヨウノコギリソウに含有する有効成分はcentaureidin、センブリに含有する有効成分はmethylswertianinであることを発見した。
また、培地中よりMOPB及びcentaureidinを除いた場合、縮小したデンドライトが伸長することから、2つの化合物の効果は、細胞毒性に依存しないことを確認した。  
続いて、三次元培養皮膚モデルを用いて検討した。
MOPB及びcentaureidinは、デンドライトを縮小させることによって色素沈着を抑制すること、methylswertianinはデンドライトを伸張させることによって色素沈着を亢進することが確認できた。
本研究で見出した化合物を用いることによって、皮膚色を明るくしたり暗くしたりコントロールすることができる独特な化粧品開発につながると期待される。

 

スキンケア開発チーム
多田 明弘 研究員

4. 「赤い光の光学効果を利用したメーク料の開発」

夕日に照らされた女性の美しさ、赤い照明の下で踊るダンサーの妖艶さ…赤い光には、照らされた対象を魅力的に見せる効果がある。
我々は、「赤い光の視覚効果」を光学的に検証し、それをメーク料の中に取り入れる方法を検討した。
光源の波長が視覚に与える影響を調査するために、我々は新しい照射機を開発した。
「ライティングイコライザー」と名付けられたこの機器は、任意の波長光を任意の割合で混合して照射することができる。
波長分布が異なるさまざまな光を創り出し、それをモデルにあてて肌の見え方を評価した結果、600nm以上の光(=赤い光)の反射率が10%~上がったとき、肌の均一感が向上して見えることが確認できた。
そこで、肌に塗布したとき、600nm以上の光の反射率のみを高められる粉体の開発に挑んだ。
試行錯誤の結果、「井形断面を有する赤い粉体(#R)」の開発に至った。
光を反射する面と線を多数有する#Rは、赤い光を全方向に強く反射する。
そのため、他の粉体と混合しても、明度低下、彩度低下を起こさずに、600nm以上の光の反射率のみを高めることができる。
この新しい粉体を配合したメーク料には、肌の均一感を向上させる効果があることが確認できた。

 

メークアップ開発チーム
坂崎 ゆかり 研究員

5. 「肌ツヤの光学特性とみずみずしく見えるファンデーションの開発研究」

「ツヤ」のありすぎる顔が油ギッシュに見え、一方、「ツヤ」の全くない顔は元気がなく見える。
つまり、肌のツヤが持つ光学特性(強度や拡散)が、美の質感をプラスあるいはマイナスに影響を与えている。
そこで、美しいツヤ質感を持つ「みずみずしい肌」について解明し、その美の質感の効果をメークアップファンデーションに組み込む研究に着手した。  
光学測定の解析並びにミクロ表面形体の観察を行った結果、「みずみずしく見える肌」の表面形態には、規則的な凹凸を持つ特徴があり、その光学特性は、低い入射角で入る光は拡散により反射強度が低く、高い入射角で入る光は、擬似平滑表面の形成により、反射強度が高くなることを発見した。  
メーク膜でこのみずみずしい肌が持つ特有の光学効果を得るための条件を検討した。
結果、3µm(マイクロメートル)の粒度分布の狭い球状粉体を核とし、屈折率の異なる2種のシリコーンを被覆することにより、この光学効果を出せる新規粉体の開発に成功した。
この粉体を配合することにより、みずみずしく見える効果をファンデーションに組み込めた。

 

メークアップ開発チーム
西村 博睦 研究員

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