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研究

研究成果

学会発表

IFSCC世界大会での発表内容

IFSCC第28回パリ大会において5件の学術論文を発表

IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)第28回パリ大会(フランス)大会(2014年10月27日~31日)で、以下の5件の学術論文を発表しました。
今回は口頭発表3件、ポスター発表2件の合計5件を発表しました。発表論文は以下のとおりです。

本大会において、「月経周期におけるニキビ悪化と皮膚抗菌ペプチドhBD-3の関連性」の研究が口頭発表基礎部門において「最優秀賞」を受賞しました。

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1.「月経周期におけるニキビ悪化と皮膚抗菌ペプチドhBD-3の関連性」(口頭部門)Antimicrobial peptide human beta defensin-3 (hBD-3) as a key factor for acne flare-up during the premenstrual stage

 月経前のニキビの悪化に悩む女性は多いものの、その機序はよくわかっておらず、適切なケア方法は提示できていません。
 本研究では、月経前に増加する女性ホルモン(プロゲステロン)と、表皮が産生する抗菌ペプチドに着目して研究を行った結果
① 皮膚抗菌ペプチドの一種であるヒトβ-ディフェンシン-3(hBD-3)が、ニキビ
  の主要な原因菌であるアクネ菌に対して抗菌活性を示すこと
② 月経前に増加する女性ホルモンであるプロゲステロンが、ヒト表皮細胞の
  hBD-3発現を低下させること
を見出しました。このことから月経前のニキビ悪化には、アクネ菌に対する抗菌活性を持つhBD-3の発現がプロゲステロンにより低下することが原因の一つと捉えられ、本研究成果を活用することで、より効果的なニキビケア化粧品の提案につながると考えています。

 

肌科学研究部
後藤 悠 研究員

2.「パウダー化粧品とスキンケアのハイブリッド : ラメラ相コーティングパウダーファンデーションの開発」(口頭部門)Hybrid of Powder Foundation and Skincare Function

 パウダーファンデーションは乾燥感を引き起こしがちですが、その原因として、水溶性成分が配合されていないため保湿性に劣ることと、粉体が皮脂を吸油するため閉塞性が低下することの2点が考えられます。
 そこで保湿性を付与し、皮脂吸油を抑制する手段として、水を含有したラメラ相(水と界面活性剤が形成するシートが層状に並んだもの)でパウダーファンデーションそのものをコーティングすることが有効ではないかと考え、その技術開発に挑みました。
 界面活性剤の1つであるレシチンは、皮脂の影響を受けにくい含水ラメラ相を形成することが分かりました。そして、湿式処理法を用いることにより、この含水ラメラ相を粉体表面に均一にコーティングすることに成功しました。その結果、作られたラメラ相コーティングファンデーションは皮脂吸油を低下させ、閉塞性が高まることが確認されました。また、油剤のみでコーティングされた従来のファンデーションと比較して、角層水分量を上昇させる効果が高く、実際に使用した際の乾燥感も少ないことが確認されました。さらに水溶性有効成分を内包させたラメラ相で粉体をコーティングしたとき、有効成分の角層へのデリバリー効果も向上しました。
 本研究成果を活用することで、スキンケア効果の高いパウダー化粧品の開発が実現できるものと考えています。

 

開発研究部
堀江 亘 研究員

3.「肌の輝きを想起させる製剤の開発」(口頭部門)Development of a Formulation that Evokes Glowing Skin

 化粧品において、顧客へのメッセージ発信は様々な方法で行われています。例えば容器等では使用後の肌改善効果やブランドの世界観を、メークアップ化粧料では製剤の外観や意匠性を通して使用後の仕上がりを顧客に想起させています。一方、スキンケア化粧料では「製剤の外観と顧客の期待する機能」について、これまで研究がなされてこなかったのが現状です。
 この関係について調査し、スキンケア化粧料において「製剤の外観と顧客の期待する機能」に関係性があることを明らかにしました。さらに、既存の製剤の外観では、顧客に期待させることができない機能があり、それが「肌の輝き」であることを見出しました。
 そこで光干渉性を有するラメラ液晶を作り、安定化することで、輝いているような外観をもつ「オーロラローション」を開発しました。その外観を見ることにより、「肌の輝き」を期待させることにスキンケア品として初めて成功しました。また本製剤の持つ水を抱える力により、継続して使用することで、角層が保湿され肌の輝きが向上するものと考えています。

 

開発研究部
西川 正一郎 研究員

4.「核膜異常によるシワ形成」(ポスター部門)Nuclear-membrane dysfunctional skin wrinkle formation

 加齢により顔に現れるシワは、化粧品領域の重要な改善ターゲットの一つであり、様々なアプローチが行われてきています。しかし、顧客ニーズに十分応えきれていないのが現状です。
 本研究では、加齢や紫外線、圧縮刺激により真皮線維芽細胞で増加する"核膜異常"に着目した新規シワ形成メカニズムの解明を行いました。その結果、核膜異常の生じた真皮線維芽細胞に目尻などの皮膚に起きる圧縮を加えると、炎症性サイトカインの著しい増加が起こること、さらに、コラーゲン線維の断片化、弾力性の低下が引き起こされることを見出しました。
 本結果は、加齢や紫外線により核膜異常を生じた真皮線維芽細胞に皮膚の動きが加わることが、目尻や眉間、ほうれい線のシワ形成や悪化の原因であることを示唆する新知見です。
 これにより、シワが加齢に伴い増加する原因の一端を解明できたと考えます。
 本研究成果の活用により、より顧客満足の高い抗シワ製品を提供できると考えています。

 

肌科学研究部
竹内 啓貴 研究員

5.「メラニンキャップの消失に着目した新しい美白メカニズムの解明」(ポスター部門)A new skin-brightening mechanism with focusing on unwelcome over-produced melanin-cap in keratinocytes

 色素沈着に対するこれまでのアプローチには、既にできてしまった色素沈着に対する効果が不十分である、改善までに時間がかかる、という課題がありました。そこで我々は、色素沈着部位で黒い色調を示している、過剰なメラニンキャップ構造に着目しました。メラニンキャップとは、メラノソーム(小胞にメラニンがつつまれた構造体)が凝集し、大きな塊となってケラチノサイトの核周辺に集積した構造です。興味深いことに、メラニンキャップは色素沈着部位の基底層付近で黒く観察されますが、有棘層・顆粒層付近ではその色調が薄くなり、徐々に消失します。
 本研究では、メラニンキャップの形成に小胞輸送関連因子が関与していることをヒントに研究を進め、メラニンキャップの消失メカニズムの解明を試みました。その結果、メラニンキャップの消失時にはメラニン量は変化せず、細胞内に存在するメラノソームが分散していることが確認されました。また、dynein、VAMP1の2因子がそのメカニズムに関与することが確認されました。
 本研究成果を活用することで、色素沈着部位に直接アプローチできる、より効果的な美白製品の提案に繋がるものと考えています。

 

肌科学研究部
三輪 隆博 研究員

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